まえをむいて。

2009年にロースクール卒業。 司法試験受験回数0回。 平日は7歳と10歳の子育てをする主婦、 週末は仕事、をしつつ、 予備試験・司法試験合格を目指しています。 いまから、ここから、はじめます。 まえをむいて。

受けとった想い。

母に そろそろ来年あたりから司法試験(予備試験)を
受け始めようかと思う、と何気なく伝えた。

それを聞いた母がとても喜んでいるのをみて、
そっか…そう思っていたんだなぁ、と知る。

夢が叶い憧れていた職業にせっかく就けたのに
職場から遠く離れた地にお嫁に来たため、
仕事を辞めざるを得なかった母。
幼い頃から、
「好きなひとと結婚しても続けられる仕事に就くことができるように。」と言われて育った私。
母が抱える、仕事から離れたことへの無念の想いを
こどもながら強く感じ 律儀に それを拾い集めては
背中に乗せて歩いてきた。

母が
仕事を辞めた選択をしたことを後悔しないように、
父と結婚して田舎に来てしまったことも
こんな優秀な娘が育ったのだから よかった…と思ってもらえるように。
自分が優秀であることで なにかしら父の役に立てるのなら、母が幸せを感じてくれるのなら。
ほんとうにそれだけの動機に支えられて
がむしゃらに突き進んできた子供時代だった。
なんでも一番で いろんなひとに誉められたし
嬉しかったことも たくさんあったはずだけれど、
自分にとっては二度と戻りたくない時代でもある。
誰かの期待に応え続けなければならない、
という重圧につぶされながら耐える日々は安らぎからは程遠い場所だった。


そんな状況は結局ロースクールを卒業するまで続き、
いよいよ司法試験に挑むチケットを手に入れた!というタイミングで、
なにかの拍子に母と口論になったことがきっかけとなり、私は母に宣言したのだった。
「もうやめた。これは、わたしの人生だから。
これからは、自分だけの気持ちに従って、自分だけのための選択をする。」
もう、母の期待に応える娘をやめます、
法曹にもいまはなりたいと全く思わないから司法試験を受ける気はない、
そんなようなことをはっきりと言った。


母はどんな気持ちでその言葉を聞いていたのだろう…
と いまになって ようやく 当時の母の心に想いを馳せる。
ずっと、ずっと、20年以上に渡り
娘が目標に向かって突き進む姿を誠心誠意 サポートし、体力的に辛くとも わが子を支える喜びを感じてきた母にとって どんなに辛い宣告だったかと思う。


私が司法試験に向かう気持ちになったことを聞いて
心底 ほっとしたような 喜びに満ちた表情をする母を眺めながら、

いまの自分がしている選択は、あのときとは違って
純粋に自分だけのためにした選択で、誰を喜ばせるためのものでもないけれど、
自分に注いでいただいた 誰かの想いは
突き返したり、負担に思ったりせずに
零すことなく ありがたく自分のなかに留めていかなくてはならぬものなのだな、と 強く思った。



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