地図を左手に。
また、だ。また迷ってしまった。
仕事で、月に二回ほど都会に出かけるのだけれど、地下鉄の乗り換えが毎回うまくいかない。
〔目的地 ➡️〕という頭上にある案内の看板を順番に ひとつひとつ辿りながら 矢印の指し示す方向に順調に進んでいるのに、
最後の最後で 突然 現れる このマーク…
〔目的地 ↩️〕
「ド…ドユコト?」
来た道を戻るということなのか、
ちょっと進んで くるっと回り込むということなのか。辺りを見渡しその場でぐるりと一回転して立ちすくむ。
仕事の打ち合わせの時間が迫るなか
夫に道案内の助けを求めて電話をする。が、解決しない。それもそのはず。
自分自身がいまどこにいるのかわからないから、夫も道案内しようがないのだった。
とりあえず近くのひとについていってみようとおろおろ歩いきながら、
ロースクールで要件事実を教えていただいていた裁判官の先生からいただいたアドバイスを思い出していた。
民法を勉強しても、なかなか手ごたえを感じることができなかったときに、私は先生に
「勉強していても、いっこうに民法がわかるようになる気がしない。」
というようなことを相談した。
それを聞いた先生は民法の勉強のコツを教えてくださった。
それは…
民法の目次をコピーして、常に手元に置き、
どんなときも(基本書を読むときも、問題演習をするときも) その目次を逐一眺めて、
「いま自分はこの目次のなかでいうところのココを勉強しているのだな。」ということを確認し意識しながら進めなさい、
ということだった。
先生からいただいた、
《目次を地図にして勉強を進める》との教えを、私は以来ずっと守っている。
民法に限らず、試験勉強や目標達成には
自分がいま立つ場所を正確に把握することが
とても とても重要なのだとおもう。
自分の現状を直視する作業は、
思いの外 骨が折れるものだが
そこをちゃんと乗り越えることができたら、
地図に正しくピンを打て
次第にそれが道になっていくのだとおもう。
帰宅後、夫に私がどこでどう迷ったのか
Googleの地図で調べてもらった。
次こそは迷わない。
これは、鮭。
お腹を押すと、イクラがでてくる。